足りない技 承継で補う
段ボール+プラスチック
廃業よりM&A模索を 雇用と事業を守る道
ものづくりの街、大阪府東大阪市で商品パッケージをつくる「美販」。2代目社長社長の尾寅将夫さん(52)は昨年、大阪市で化粧箱などをつくる会社を買収、子会社にした。
始まりは2年前の夏、銀行からこう言われたことだった。
「廃業が増えているのを何とかしたいのです。M&A(合併・買収)にいい案件があったら紹介していいですか?」
一応、銀行に登録はした。8カ月がたち、そのことをすっかり忘れていたころ、連絡がきた。「覚えてはりますか?いい会社がありました」
その会社の社長は60代で死去。残されたのは90歳を超える母親と数人の社員。廃業しかないかもしれない、という状態だった。
その会社を子会社にした結果……。
その会社が顧客にもっていた関東への進出の足がかりができた。「うれしいのは、みんなが生き生きと働いてくれていること。登録をしておいて、ほんまによかった」と尾寅さん。